「こちら、越前。機術師部隊。地上とリンク……コンタクト」  宇宙では激しい戦いが始まっていた。赤オーマと雌雄を決する宇宙での戦闘。これに勝たなくては我らが故郷、宇宙は取り戻せない。  越前はこの戦いに際し機術師を派遣。情報電子戦を展開しつつあった。  「デコイ、照射。デコイコンタクトまであと2秒……ぶつかります。」  「デコイ、ファイヤーウォールによって阻まれます。」   「敵対抗素子、デコイに向かって食い付いていきます」  「逆探知に備えファイヤーウォール展開。ICEを配置します」  司令室の中では淡々と冷静な声が状況を伝える。しかし指先は熱を篭もったように早くキーボードを縦横無尽に駈け回っている  「……本命を照射せよ。」  中央に浮かんで仮想キーボードをいじくっていた男がブドウ糖をかみ砕きながら指示を飛ばした。全員がその言葉に頷くと越前が精力を傾けて作り出した本命ハッキングプログラムを起動。  「……アビニシアン出ました!」  本部と中継役のオペレーターが叫ぶ。  「絶対隠せ。良いか、電子の眼で俺達のアビを見させるなよ。」  男は闇夜を見つめる。  「我らは絶対に勝つ。そのために血の滲むような思いをしてきたんだ。そして宇宙を我が手に」  越前の苦闘は続く