宝くじ当選記念SS(だったはずのもの)  越前藩国では、朝食を作るのは料理が出来る者達の当番制である。  人件費削減と言うやつである。  そして、今日の当番は俺、不破陽多であった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――  大鍋に水を入れて火にかける。うむ。やはり鍋は鍋の国製品に限る。良い物だ。  次に米を洗う。ここで手を抜くと炊き上げたとき露骨に差が出るから丁寧に。  ここまで準備したところで食糧庫の中を覗く。  昔世話になった、空き巣のおっちゃん曰く。  「他人ん家の物色は食糧庫から」  とのこと。割と基本らしい。その家の経済状態がわかるからだそうな。  無添加味噌、玉葱、豆腐、納豆、秋刀魚に干し肉、卵に小豆。  あと大量の米。  ふむ、その伝で行くと、越前藩国の懐事はなかなか悪くない。  結構良い物が有るじゃねぇか。  …このうち、味噌、干し肉、小豆と納豆と豆腐が、それぞれWishさん,朱居まりあさん、椚木閑羽さんが宝くじで当てたものだということにさえ目をつむれば……だが。  お、厨房の戸棚から煮干しを発見。  二匹を自分の口に、残りを沸かした鍋にザルと一緒に投下。  小豆を越前自慢の名水に入れて圧力鍋に投入。2分ほど経過したら火を止める。  一旦離れて、綺麗なまな板の上で玉葱と干し肉を適当に切る。いくら鋼腕剣士ったって、いちいち剣術を使ったりはしない。適当にバラして火を通せば意外と大丈夫なもんだ。  次に熱したフライパンに油を引き、へりのところに干し肉を入れて炙る。同時に真ん中の真上で卵をもう片手で割る。自慢出来る数少ない特技の一つ。そして適度に水をまいたらフタして蒸す。ちょっと変わったベーコンと、誰でも知ってる目玉焼きができる。卵は偉い。誰が調理しても美味いからな。  秋刀魚を魚グリルにセット。自動加熱器ってヤツは便利だねぇ。いや、ホント。  圧力鍋を開けて、良い感じに小豆が冷えたのを確認したところで、ザルをもう一個取り出し容器の上に置いたら小豆をすくいあげる。洗っておいた米を圧力鍋に移す。炊くのに使うのは小豆の煮汁だ。米の上に小豆を入れてフタを閉じる。加熱時間を設定。  ここで一服。それぞれの料理ができるまで待つ。  お鍋が吹き出したので味噌を投入。俺は濃い目の味が好きだ。玉葱を入水、豆腐は千切って入れる。こうしたほうが美味い。手間もかからねぇし。  そうだ、こいつだけは言っておきたい。  味噌は出汁をとってから! 全国にまだまだ潜伏してるであろう、味噌をお湯で溶かせば味噌汁になると思ってる奴ら! それは味噌湯! 料理できるやつに言ったらドン引きされっぞ! 米を洗剤で洗うのと大して変わらんから! いや、最近は出汁入り味噌とか普通にあるけどな!  さておき、秋刀魚を引っくり返す。小皿に納豆を入れ替えた。盛り付けはやっぱり適当。ベーコンに焦げ目が付いてきたので皿の上に並べたころ、今度は目玉焼きがいい感じで半熟になったのですくい上げる。 「おっと」  秋刀魚が少し焦げた。救出、救出。 目玉焼きの下にベーコンを奮発して八枚も並べた。食うのが楽しみだぜ。くっくっく。  いよいよ完成のときは来た。  味噌汁の鍋を弱火にして圧力鍋のフタに手をかける。こいつがハートフルコメディなら炊き忘れとかあるんだろうが、俺もそこまで迂闊じゃねぇ。……信じてくれ。  出来立ての小豆ご飯を思い、待ってろよとニヒルに笑ったところで背中から声が。 「あ、その圧力鍋、壊れてるよ。五分以上加熱すると勝手に消えちゃうの」 「トラァァァァァップ! 五分に一度罠がある! 知らない内にこけていたッ!」 ……… 今日の越前藩士の朝食メニュー ・チャイナベーコンと目玉焼き ・焼いた秋刀魚 ・玉葱と豆腐の味噌汁 ・慌ててコンビニで買ってきた食パン 以上 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― すいません。腹減った状態で書いてたらこんなんになってました。 宝くじの事なんて一行しか出てねぇよ!? ホント、すんませんしたっ!